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復活なるか


by t-mac
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ウイルスの束

ウイルスの束_c0064899_12364067.jpg

やっと、軌道に乗ってきたかな?という印象のspinner cellによるウイルスのバンド。久々に上手く行って嬉しかったので思わずパチリ。

今使っているアデノウイルスは、293という番号だけの名前を持つヒト胎児の腎臓由来の細胞に断片化したアデノウイルスのDNAを導入して得られた細胞で増やしている。遺伝子の一部を削られて通常の細胞では増殖できない仕組みになっている組換えアデノウイルスが、293に導入されたウイルス由来のDNAから発現されるウイルスタンパク質のおかげで293でだけは増えることができる、という仕掛け。で、たいていの細胞はお皿やフラスコに付着して増えるのだけど、ウチのラボで使っている293 spinnerはそんな293を浮遊状態でも生きていけるように改造された改造細胞なのだ(仮面ライダーみたい)。

どうして付着じゃなくて浮遊なのかというと、付着だと培地はともかく、大量のフラスコが必要になり、時間も手間も場所もとる、という厄介者になってしまうのを、大きめのフラスコ(2リットルの平底球形フラスコを使用)で一度にやってしまうのだ。ので、時間も手間も場所も省けるというわけ。

ところがこのspinner、なかなかのくせ者。凍結保存からよく増える状態に持って行くのが結構大変。ここ数ヶ月ラボのテクニシャンと試行錯誤で条件を探り、やっと景気よく?増えるようになってくれたので、ウイルス増やしに使ってみた次第。初回そして今回と数回使ってみた印象では、当たり前だけど健康に増えている状態の細胞を使うこと、そして種となるウイルスを感染させる際、付着293細胞に対してつかうウイルス量の4〜5倍使うこと、などがどうも鍵のようだ。今後はこれらの点に注意を払って使うことにする。
by tomo_macintosh | 2005-09-20 19:34 | しごと