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復活なるか


by t-mac
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“ウイルス”の送り方

さて、ほっておくと過去のエントリに埋もれてしまうのでケリをつけておかなければ。
“ウイルス”の送り方_c0064899_10195225.gif

FedExとのやり取りの経緯。4度目にしてやっと合格。

さて、一体何がいけなかったのか。各トライを振り返ってみると。
一回目: 箱が指定のものではなかった。11/30のエントリに書いたように、UN指定以外の箱だったのがNG。(送り主が)どう自分で表示しようともUN指定である、という印刷が入った箱でなければいけないのである。つまり、箱は購入せざるを得なかった。
二回目: 物理的に箱が小さすぎた。大きさの規定に当てはまらなかった?No。表示しなければいけないマーキングをFedExの送り票で部分的にでも覆わないとならないくらい小さかったのがいけなかったのである。例え送り票を入れるパウチが透明のビニールであろうとも、覆ってしまってはNG。
三回目: 箱はパーフェクトだった。だが、危険物輸送開示書類のちょっとした不備を指摘された。この書類には国連によって定められた危険物のナンバーを示さないといけないのだが、UN or ID No.と書かれた欄にナンバー「しか」書いていない、と指摘された(ドライアイスの場合UN1845なのだが1845とだけ書いた。PDFで記入するにはUN付きでは納まらなかったしUNナンバー用の欄だから自明だと思ったのが運のつき)。


それでは、反省を込めて見直していきたい。
1. 溶液の漏れ出ない一次容器に材料を入れる。今回は凍結ウイルス溶液をスクリューキャップのチューブに入れ、このチューブを更にKapakなるサザンブロット等に使うパックに入れてシール。(ドライアイスによってウイルス溶液が酸性に傾き、失活してしまうのを防ぐのに有効なのです)
2. 万一チューブから漏れても溶液が漏れ出ない二次容器。一次容器(チューブ)から漏れ出た場合のために吸水材で一次容器を包む。この二次容器には直接一次容器が接触しないように緩衝材を入れる。二次容器自体も耐水性のテープ等でシールすると良い。
3. 二次容器には住所氏名連絡先とともに内容物を表記。
4. 二次容器を保冷性の箱(三次容器)に入れ、隙間にドライアイスを詰める。ドライアイスの総量(重量)の目安を覚えておく。
5. 内容リストを三次容器と外箱の間に入れておく。ごく簡単でOK。
6. 外箱の内側に箱を開けた際に見えるような位置にバイオハザードのステッカーあるいはサインを貼っておく。
7. UN指定による表示を外箱に添付する。今回の場合、ドライアイス(UN1845)と人(UN2814)および動物(UN2900)感染性物質のための表示。購入した箱にはステッカーが添付されていた。
“ウイルス”の送り方_c0064899_13534712.jpg
見難いが二つあるひし形のサインの左が感染性物質、右がドライアイスのマーキング

8. ちなみに外箱の大きさは少なくとも一辺が10cm以上でなければならない。向かい合った側面に天地無用であることを示すサイン(写真では赤い四角に赤い上向きの矢印二つ)の表示義務がある(購入した箱なら印刷してある、送り票などで覆ってはいけない)。
9. 送り主と送付先の住所氏名と電話番号を外箱に記入する。上記7.のステッカーに記入用の欄があったのでそこに記入。箱に直接記入したほうが理に適っている気がするけど。
10. FedExのホームページで見つかるDeclaration of Dangerous Goodsの書類を3コピー用意。飛行機による輸送時には必須である。これは購入した箱にも付いていた。特にFedExである必要は何もない。送り主と送付先の住所と電話番号。送付量によるCARGO機かCARGOおよび旅客兼用機の選択(50mlまでは兼用でいいそうな。これもある意味いい加減だ)。放射性同位体かそうでないかの選択。UN or IDの番号(はい、"UN"付きで!)、カテゴリーと物質名、クラス分け、容量、梱包インストラクション。詳細までは理解できず(笑)。もう細かすぎ。
“ウイルス”の送り方_c0064899_1353329.gif
これがその、問題のキケンブツユソウカイジショルイ(笑)

11. そして、直接送り方とは関係ないが、規則上大学のバイオセーフティオフィスによるバイオハザード物質輸送のためのトレーニングを3年以内に受けていることが必要。でないと正式の送り主とは認められないのだ!!(もちろん輸送業者が逐一確認するとは思えないし、聞かれもしなかったが。同僚のポスドクが幸運にも受講していたので頼んで送り主になってもらった)

Dangerous goodsの解説 by Wikipedia
UNナンバーの解説 by Wikipedia
by tomo_macintosh | 2005-12-12 15:00 | しごと