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復活なるか


by t-mac
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申請書の内容(カバーレター)

永住権(グリーンカード)の申請の巻、大分間が空いてしまいました。これまでのところは、どういうカテゴリで申請するのか、ということを説明したつもりです。

今回は、申請書の内容に焦点を当ててみたいと思います。

推薦状の実際に踏み込む前に、どういう構成で申請書を作り上げたかを開示してみます。
1. 自分自身のCV
2. 修士の学位証明書
3. 在職証明書
4. 博士の学位証明書
5. 論文が専門分野の情報誌に扱われた際の記事
6. 論文A
7. 政府関係のポスドクフェローシップの受賞通知
8. 論文B
9. 自分の論文の被引用リスト
10. 自分も著者に加わっているレビュー
11. 論文C
12. 同業、割と偉い人の推薦状
13. 論文D
14. 論文E
15. 臨床試験の共同研究先の知り合いからの推薦状(PIではない)
16. 同業、かなり近い分野の人の推薦状
17. ボスの推薦状
18. デパートメント長の推薦状

これが、結果的にUSCIS(U.S Citizenship and Immigration Services)に送った内容です。

結果的に、というのは、特に先日書いたEB1の場合、USCISが提示する条件のうち、申請者がそのうちのいくつかを満たすことを証明すればいいので、その項目に沿って書き上げればいいわけです。

それに対して、EB2のNIWの場合、申請者の研究が本質的に価値があり、米国もしくは人類全体に利益があることを示さなくてはなりません。その上で、他にもたくさんいるアメリカ人の研究者と比較してどう実質的に違うのか(substantially different)、どうして申請者でなくてはいけないのか、などを綿々と綴らなくてはいけないわけで、そうなると叩き台のようなものはあったとしても、決まったフォーマットに沿って書き上げる、というわけにはいかないのです。

できるだけ平易な文章で申請者の研究内容について説明し、その研究が進むことによりどういう病気を治すことが出来るかを説明します。この段階で既に医学研究とそれ以外では違ってきてしまいます。

対象となる病気の実情は現在どうなのか? 自分の仕事とそれがどうつながるのか? 自分の仕事がどう具体的に他と違うか(セールスポイントとなるのは)? 自分のいる施設は申請者の研究分野のどういう点で優れていると言えるのか? それがどう国益に結びつくのか・・・?

所属するラボの発展にどれくらい貢献したか? 例えば、自分の成果(論文)を元に研究費が獲得できた(=その研究費によってさらに研究が前進した)、など。そして、研究の進歩度合いはどうか? 臨床へつながる研究ができているのか? そして、自分の仕事と関連して今後期待されることはなにか?

これらを審査官の感情に訴えるような表現で書ければいいのだそうです。ただし、虚言はだめで、裏付けがなさそうな表現も良くないそうです。感情に訴えているつもりが、感情を害してしまっては台無し、ということですね。

さて、上記のことをつらつらと書きながら、これまで世に出した論文をそれぞれ「こういう取り組みで始めて」「こういう風に発展し」「こういう応用もしつつ」「この方向で臨床に」ということで引用していくわけですが、審査官は癌の遺伝子治療、ましてや分子生物学も知らないような人のはずですから、本文を読んで、論文に目を通して、“よし、この申請者は国益になる”と判断してくれるわけではありません。いや、そうだったらどれだけいいことか。

そういうわけで傍証となる推薦状の登場です。はああ、ここまで遠かった。まだまだ先は長いんですが。本当は推薦状のことをメインに書こうと思っていたのですが、寝不足がキビシイのでここで中断させていただきます。続きは次回以降ということで。
by tomo_macintosh | 2007-03-24 16:59