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復活なるか


by t-mac
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たどりついて推薦状

さて。前回思わせぶりなことを書いておきながら放置されていたのでありがたい突っ込みをいただきました。自分としても、あの苦労を忘れないうちに書き留めておかないことには後の教訓になりません(笑)。

前回エラそうに申請書の中身をディスクロージャーしてしまったわけですが、
1. 自分自身のCV
2. 修士の学位証明書
3. 在職証明書
4. 博士の学位証明書

この辺りは自分で問題なく用意できる類のものです。自分の場合は5年ほど前にフェローシップの申請に2、4が必要だったのでたまたま既に英文のものが手元にありました。両方とも当時電話で事務にお願いして送ってもらったものです。それ故日付はかなり古いのですが、構わないようです。3の在職証明書は過去職歴があった場合に必要になるもので、以前在籍していた会社の上司に頼んで最近送っていただきました。頼む際に書式(ちゃんとしたものはありませんが、常識的な線)を伝えるのを忘れたため、少々?と思うものでしたが、特に問題はないようでした。
5. 論文が専門分野の情報誌に扱われた際の記事

これはどの程度有効なのかは分かりませんが、2年前の論文が何故かイメージング関係のミニジャーナルに取り上げられた時のものを添付しました。後にも先にもその雑誌をどこかで見かけたことはありませんが、全く知らない人から見ると論文が医療関係の雑誌に注目されたように見えないこともないかも(笑)。もし論文以外の媒体で紹介されたことがあれば是非とも添付した方が良いようです。もしあれば新聞などはベストでしょう。
7. 政府関係のポスドクフェローシップの受賞通知

これは手駒の中ではかなり有効なものの一つ。いや、正直この申請書の唯一に近いウリです。論文の数や推薦状の数は揃ってはいますが、政府機関が申請者の研究計画を過去実績も含めて評価し、研究費を与えた、という事実は大変強力な証拠となる、とT弁護士に言われました。でもこの機関が認めてくれたんだから移民局が認めてくれなかったとしたら何か矛盾する気がしませんか(笑)。勝手な言い草ですかね。これが例え無かったとしても、何らかの賞をしっかりアピールしたり、論文と推薦状だけでアピールすることももちろん可能だと思います。
12. 同業、割と偉い人の推薦状
15. 臨床試験の共同研究先の知り合いからの推薦状(PIではない)
16. 同業、かなり近い分野の人の推薦状
17. ボスの推薦状
18. デパートメント長の推薦状

さあ、やっとたどり着いた推薦状(笑)。まず、推薦状を依頼する相手ですが、「直接の知り合いではないが、申請者をよく知っており、公正に評価できる立場の人」がいいのだそうです。知り合いじゃないのにどうやって知っているんだ、と突っ込まれそうですが、同じあるいは近い分野にいて、申請者の研究が優れているが故に認識されている、そんな状況でしょうか。とはいえ、誰にでも知られているくらい優秀ならばFacultyポジションをゲットすることも容易なはずで、そうなるとEB2-NIWよりはEB1のOutstanding Researcherを狙った方が良いでしょう。

推薦状を依頼する候補者としては政府関係の機関の職員、例えばCDC、NIH、DOE、DODの職員の方などが最強、との事です。共同研究や学会で知り合いになって推薦状が頼めれば非常に心強い味方です。ただし、NIHの職員は現在は外部に推薦状を書けないことになっているとのことで、私もお願いした方にははっきり断られました。他の機関については存じません。

政府系機関が望めないとしたら、次はできるだけ地位の高い方からの推薦状が有効だそうです。全米規模の学会の会長などがそれに当たります。比較的近所に「元」会長がいて、向こうは絶対覚えていないでしょうが、UCLAにセミナーをしに来られた際に、ランチに同行させてもらい、非常に短い会話(笑)をしたことがありました。もう一人、とある場所で遺伝子治療センター長、という肩書きの方にもお願いして「いいよ」と言われたのですが、それだけでした(笑)。(結局もらえなかった。理由は不明)他にはもう一つ、自分は直接相手を知らなくても、ボスにお願いして、ボスが知っている偉い人にボスの手紙と一緒にお願いする、という手もあるらしいです。

以前から将来的にグリーンカードを申請することを考えていたので、こういう「ちょっと偉そうな(笑)人」には以前からできるだけ話しかけるようにしていました。とはいえ、ハナから「将来グリーンカード申請の際の推薦状を書いて貰えませんか?ハァハァ」と近づいたわけではなくて、とにかく(自分の中での)有名人に話しかけて会話してみたかった、その程度のものですが。でも、心の隅には将来推薦状書いて貰おう、という気持ちがあったのは確かです(笑)。

ここら辺で私にとって強そうなカードはネタ切れ。大富豪に例える(笑)と、政府系機関の人は2、学会の会長クラスはA場合によっては2でしょうか。あとはなんとか身近・知り合いで絵札を探すことになります。意外なところでAにもなることもあるのが査読を依頼してくる雑誌のエディターだそうで、申請者がその分野のエキスパートと認めていられるからこそ査読を依頼する、そこを推薦状に書いてもらえばOK、だそうです。と言われて喜んで以前査読を依頼してきたエディタにお願いしたら、「あなたのことをそれほど知っているわけではない」と言われてしまいました。あっさりと振られたわけです(笑)。

あまり背伸びをして無理をしなかったせいか、規則上ダメ、というNIHの方以外は全員書いても良い旨の返事をもらいました。貰ったんですが、全員「いいけど、原稿書いてね♡」ということで、頼んだ分だけ原稿を書く羽目に… これが結果的に一番キツかったですね。そもそも、推薦状を依頼する手紙からして大変。そんなメール、書いたことないですから。日本のでの敬語なら多少は自信がありますが、英語となるとwould like to...とかその程度。

まあそんなつたない英文でも皆さん意志を汲んでくださったのか、推薦状書きなんて良くあることなのか、忙しいからダメ!なんて人はいなかったわけですが、原稿は全員の分用意しなければいけなくなったわけです。確かに大変ではありましたが、むしろ適当なのを勝手にかかれるよりは良いのかもしれません。というのは、カバーレター中で、この申請者はこれこれこういう理由で国益による免除を受ける資格がある、ということを説明していく中で、「例えば申請者は世界で初めてこんなことをした」と書くだけではダメで、その証拠として論文や推薦状を添付して証拠書類とするわけです。ですから推薦状の文面で「彼はこれを世界で初めて行った」と書いてもらう必要があるのです。

複数の推薦状は同一のフォーマットだと審査官に「推薦状が全部同じじゃないか!馬鹿にしとるのか!」と言われてしまいかねないので(ホントですかね…)、パッと見て同じとは思えない方がいいようです。とはいえ今までに書いたことがない類のもの、長期滞米研究者ネットワークの地の巻・永住権のページやT弁護士に見本としていただいたものを参考に書きました。ボスが他の人に書いたものも見せてもらいましたっけ。

推薦状はレターで二枚程度が良いようです。短すぎたり長すぎたりしない方が良いわけですが、それ以上に中身のない、「この申請者は素晴らしい研究者で、是非永住権を与えるべきだ」とだけ書いてあるようなものは事実上役に立たないのだそうです。もちろん手紙と同様、推薦状の最後にはサインをしてもらわないとなりません。また、推薦状と共に推薦者のCVを添付して経歴がわかるようにする必要があります。私の場合、時間がない状態でCVと一緒にお送り下さい、とお願いしたにもかかわらずほとんど貰えなかったので、インターネットで入手できるレベルのCVをプリントアウトして添付しました。

基本的な推薦状の文面は、まず冒頭で申請者のグリーンカードの申請を喜んでサポートする旨を述べ、次のパラグラフでは推薦者がどういうポジションでどれだけ実績・経歴があるか、要は推薦者がどれほど偉いかを淡々と(笑)記述します。そして推薦者はどういう(どれくらいすごい)施設にいてどんな研究テーマで仕事をしているかをできるだけ平易に書き記します。その後に永住権の申請者について記述するわけですが、推薦者の仕事に関連する形で書いていきます。これもあまり専門的に過ぎない方がいいです。そしてこれが大事ですが、推薦者の立場から申請者がどのように米国の国益になるかということを簡潔かつ具体的に説明します。私の場合は癌の治療、というのが根幹にあったので、healthcare、とか、quality of lifeとか頻繁に使いました。そして、最後にもう一度、この申請者に永住権を与えないのは米国、いや人類にとって大いなる損失だ(笑)みたいな文面で締めます。…これは書いてみるとわかりますが大変です(涙)。できるだけ大げさに、でも事実に反しない程度に…(笑)。

結局論文以上に神経をすり減らして(ん?なにか間違ってるような…笑)複数の推薦状をなんとか書き上げ、送った結果、原稿は送ったにもかかわらず返事のなかった人二名、ほとんど内容を変えずほぼそのままでサインだけして返してくれた人一名、結構書き直してあるが痕跡は多く残っていたもの約二名、いろいろひねり出して(笑)書いたのにほぼ全く原型をとどめていなかったもの約二名、といった感じでした。

ちょっと話はずれますが、この推薦状を手に入れるまでの一連の騒動(私にとっては)はいろいろ考えさせられることが多く、一つ大きな反省点として自分に残ったのは、『あまり人の‘為’に働いていると思うべきではない』ということで、考えてみれば以前から認識している自分の良くない点です。ついつい忙しい日々の中でそう思ってしまっている(忙しいのは自分のせいなのに人のために働いているような気になってしまう)自分がいて、こういう時にはそれをその分返してもらえるのではないか、などと思ってしまうわけです(そして返してもらえないと腹を立ててしまう)。よく考えれば分かる話なのですが、働いているのは自分の為な訳で、他の誰でもないんですが。

6. 論文A
8. 論文B
9. 自分の論文の被引用リスト
10. 自分も著者に加わっているレビュー
11. 論文C
13. 論文D
14. 論文E
推薦状についてはお分かりいただけたでしょうか。論文について説明する事はありません。論文全体を添付しても読んで理解してもらえるなんて事は絶対ないので、表紙のページだけを添付します。次回は、おまけとして9.の被引用リストの説明を予告いたします(笑)。普段あまり使いませんからね。
by tomo_macintosh | 2007-04-06 17:24 | しごと